作新アカデミア・ラボ
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と兎し子し「獅対談を終えての率直な印象です。山中先生には、科学技術政策を通じこれまで10年に亘り お話を伺ってきましたが、印象は常に優しく穏やか。ところが今回、対談開始から凄まじい集中力で一つひとつの質問に真剣に答えてくださる姿は、鬼気迫るほどで圧倒されました。どんな些細なことにも全身全霊で取り組む生きる姿勢こそがノーベル賞を引き寄せ、世界の最前線を走り続けさせるのだと実感しました。日本の教育にイノベーションを起こす“先駆者”たらんという アカデミア・ラボの志。その達成には、ひたすらの獅子奮迅が不可欠であることを、山中先生から教えていただいた貴重なひと時でありました。はく搏」(獅子は兎を捕えるにも全力を尽くす)。3838さんの細胞ですから、難病の○○君のiPS細胞って感じで。○○君の病気を食い止められるか、少年の運命がこの細胞の研究にかかっていると。理事長:患者さんの顔が見えるんですね。山中:そうなんです。普通の基礎研究だったら1のところで患者 さんの顔が浮かんだりしないです。iPSの場合は浮かぶんで、もうなんとかしたいと思ってしまう。それもあって、1から10、100というところにも、いまだに関与しているんだと思います。理事長:山中先生が臨床医、研究者、経営者と色々な人生を歩まれているのも、病に苦しむ誰かを一人でも多く救いたいという、高校 時代に抱かれた初志を貫き続けているからなんですね。その 結果が、ノーベル賞に至るわけですから。山中:いえ、ノーベル賞は欲しいと思ったことは本当になくて、 いわば、副産物。そう言ったら失礼なんですけど。ただ、普段、研究にしても、柔道やマラソンにしても、それなりの目標は決めてやって ます。そこまでは頑張ろうという積み重ねが、自分のライフスタイル になってますね。理事長:マラソンも、先日の京都マラソンでまた自己ベストを更新されましたよね。是非マラソンとともにiPS研究の第一人者として、世界のトップを今後も走り続けてくださることを、心からお祈りしています。山中:ラボの今後を楽しみにしています。頑張ってください!対談を終えて畑 恵

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